二面コップス

今日で、私もこの職場を定年退職する。どんな仕事をしていたのかって?

あんまり言いたくは無いんだが、独り言だと思って聞いてくれ。

私は災害救助ロボットスーツの開発に最後の人生を注いだ男だ。

定年を機に、この馴れ初めというかきっかけについて思い起こしてみるのもいいかもな。

私が若かりし頃、既に世の中にはたくさんのロボットが活躍していた。

工場の作業員はもとより、人がしてきた危険作業のほとんどはロボットに置き換えられていったんだ。

そして、警察部隊も命令に忠実なロボット刑事に置き換えられていった。

私は、その頃、それらロボット刑事の開発を行っていたエンジニアだった。

私の体はひ弱だったが、開発したロボット達が支えてくれ、

実際に犯人を捕まえることが出来るロボットを世に送り出すことが出来たんだよ。

3

そんな充実した日々を送っていた時、あるお偉いさんから直接依頼が舞い込んだ。

依頼者は、警察組織のトップ、警察大臣からだった。

「予算はいくらかかってもいい。ある男を不死身にできるようなロボットスーツを作って欲しい。」というのが希望で、

極秘条項としてロボットスーツを着た男は警察大臣のコントロール下に置ける機能を付加する事という条件が付いていた。

不思議な依頼ではあったが、研究費も底を付きそうな時に、断る術は無い。承諾し、そのある男Nと会うことにした。

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Nに会って、私はその魅力に引き込まれた。彼は、ロボット刑事では手に負えない、もっと危険な犯罪者や、

交渉事件を専門に扱う警察のスペシャリストだった。そして、それはすごい肉体の持ち主だったんだよ。

私たちは犯罪者を許さないという同じ意思を持つもの同士、すぐに打ち解け親友となっていった。

私もNをもっと強くすることには大賛成だ。彼のような男を失いたくは無いからね。

数ヶ月が過ぎ、このロボットスーツもいよいよ明日の完成にこぎつけた。

しかし、ただ一つ引っかかることがあった。警察大臣の、Nをコントロール下に置ける機能を付加して欲しいという要望だった。

気になった私は、ロボットプログラミンングの知識を利用して、警察機構にハッキングすることにした。

悪い事とは分かっていたが、それよりも、この真相について知り、納得した上でこのロボットスーツを送り出したかった。

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そこで私は、この依頼の真相を知ることとなる。

その真相…、この警察大臣は、世の中に犯罪の芽をばらまき、それを摘み取り成果を挙げ、

懐を増やしていった事。そのことにNは気づき始めた様子で邪魔になってきた。

そこで、Nを半機械化して、警察大臣の管制化に置き、思うように操る。

強いては、Nにさらに極悪な犯罪の芽をばら撒かせようとしているのだった。

私は我慢ならなかった。自分が許せなかった。こんな悪事に手を染めようとしていたなんて!

すぐに、この事実をNに伝えた。Nは奮起。すぐに警察大臣に詰め寄ったそうだ。

だが、知らぬ存ぜぬと取り合ってもらえなかった。その夜、私とNは今後について自宅で話し合った。

ロボットスーツの破壊方法について相談していたその時、

自宅に大量のロボット刑事が入ってきた。逮捕状を見せつけ、そそくさとNを逮捕してしまった。

部屋には、「妙な真似をするとお前も逮捕だ。明日の納期はしっかり守るんだ。」

と書き残されたメモが一枚。

7

次の日、 私は警察大臣に依頼されたロボットスーツを直接納入しに行った。

大臣室に入ったその瞬間。私はロボット刑事に取り囲まれ、大臣が言った。

「よく来たな。お前にはもう用は無い。このスーツをNに着せ意のままに操るんだ。ハッハッハー。」

私は叫んだ「そんなことはさせるか!」

その瞬間ロボット刑事の数十の銃口が私に向けられた。

咄嗟に私はロボットスーツを身にまとい、私が以前に開発したロボット刑事と戦った。

これまで喧嘩なんてしたことも無かったが、Nの身体能力解析はここぞに生かされ、

涙を流しながら、私が生んだロボットたちを破壊した。

そして、大臣に詰め寄り、肥えた懐を掴みNの監禁場所を答えさせた。

これが、私がしでかした最初で最後の喧嘩かな。

2

私はNを釈放し、警察大臣を代わりに牢屋にぶちこんだ。

Nは職場に復帰し、その後、ずっと第一線で活躍したんだ。そして間もなく、警察大臣に昇進した。

私は、その祝賀パーティに呼ばれた。

「そうだ、あのロボットスーツを改良して、災害救助ロボットスーツの開発を一緒にやってくれないか?」

それが、私の最後の仕事。Nとの仕事、安心して全力を投入できたんだ。

4

さてと、長い独り言になってしまった。最後の出社に遅刻では情けない。私はちょっと小走りで自宅を出た。

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赤い眼鏡という映画のあらすじを読んで思いついた恥ずかしショートショート。
考えながらちょっと爽快な気分に!もっと上手に話を考える人はきっと自分の話に酔いしれるんだろうなーっと実感したワレ(笑)
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二面コップス」への4件のフィードバック

  1. こんばんは☆一気に読みました!面白かったし、悪いヤツがざまあ見ろ展開ですかーっとしましたよ(^▽^)でもロボットスーツじゃないにしろ、こういう話に近いものが実際にあるのでしょうね。悪いひとってどこでもいますもん!それに負けないように、いい人もたくさんいるといいけどー!!!!

  2. 今回も面白く読めたよ~。まとめるの上手。悪はゆるさん!という姿勢が気持ち良いね。

  3. 今回は長いでが出来ましたね!よくこんな展開思いつきますね~。どんな顔しながら考えてるんだろ(笑)絵はキースさん作ですか?

  4. Misaリンへスカーッとしてくれて嬉しいよー!正義は勝つ的な世の中であってほしいよねー。洋子しゃんへやっぱり話だから落ちには気を使うよね。お褒めに預かり光栄です(笑)azuちゃんへ結構長いでしょ!でも、これ以上長くは文才無くてできないんだよ。絵はMSクリップアートを使っているよ。俺は誰かさんみたいに上手く絵が描けないの(笑)

 

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